【自塾分析のフレームワーク】VRIO分析
学習塾の方から「集客のために何をすればいいですか?」というご質問をいただくことが多いですが、実はとても困ります。
「これをやっておけば大丈夫!」というものは存在しないからです。
その塾の状況、立地、予算、強みなどによって施策も変わってきます。
そもそもそんな便利なものがあったら誰も苦労していないですよね。
あえてその質問に回答するのであれば、「自塾の分析をしてください」ということでしょうか。
以前に、外部要因や内部要因を分析するフレークワークをご紹介しました。
【コロナを乗り切る塾経営を考える Part2】5フォース分析
お忙しくされているとは思いますが、経営者として自塾がおかれている状況を分析することは非常に重要です。
今回は3C分析(顧客:Customer、競合:Competitor、会社:Company)の中でも自社を振り返る【VRIO分析】についてご紹介致します。
3C分析とは、市場や競合などの外部要因の分析を通じて自社の戦略策定に活かすためのフレームワークを指します。
自社を取り巻く環境の中から主要成功要因(KSF)を見つけ出すことを目的とし、一般的に「顧客分析→競合分析→自社分析」の順に行うのが望ましいとされています。
顧客分析や競合分析に関しては、以前ご紹介したPEST分析や5フォース分析を活用いただくのがよいと思います。
VRIO分析とは
オハイオ州立大学経営学部のジェイ・B・バーニー氏が提唱した理論であり、経営資源に基づく競合優位性を分析することができます。
VRIO分析のフレームワークは、経済価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Imitability)、組織(Organization)の4つに区分され、自社の経営資源(人・モノ・資金・情報・組織)について、市場での競争優位性を把握するために用います。VRIO分析の名前は、それぞれのアルファベットの頭文字を組み合わせたものから来ています。
フレームワークの4要素について、詳しく見ていきましょう。
1.経済価値(Value)
企業の有する経営資源が、「経済的な価値がある」とみなされているかを分析する要素です。
ここでの「価値」とは時価総額などの金銭に還元する価値ではなく、市場の機会に対してどれだけの付加価値を生み出す可能性があるのか、ということを言います。
『 組織や顧客、社会全体に対して多くの利益をもたらしているか 』という点に注目して評価を行いましょう。
2.希少性(Rarity)
他社が所持していない経営資源を分析する要素です。
提供するサービスや顧客から選ばれている理由に対して、競合他者がどれだけ同じものを提供しているか、という指標です。
3.模倣困難性(Inimitability)
他社が模倣できない経営資源を分析する要素です。
模倣が難しい希少資源を有することができれば、競争優位性を長期間維持することが可能となります。
模倣を困難とする要因は、主に以下の4点から説明されます。
歴史性
経営資源が、企業独自の歴史的要因で成り立ってるかどうかです。このように、過去の出来事や発展経路に依存している事象を「経路依存」と呼びます。
因果の曖昧さ(ブラックボックス化)
外部から見て、経営資源がどのような仕組みで調達されているのかの曖昧さを指します。これらが企業外から把握されにくい場合、競合優位性を発揮します。
社会・政治などによる複雑性
経営資源が、物理的な組み合わせのみならず、社会的な要因にて存在しているかどうかを指します。近年であればテクノロジー革命を含んだインターネットの隆盛であったり、古くからは国内資源の有無であったりと、さまざまな場合があります。
特許等による制約
文字通り、特許による経営資源(知的財産)の保護の有無です。他社が利用しようとする場合には特許使用料が必要となるため、コスト面で大きな模倣困難性が生じます。
4.組織(Organization)
企業の有する経営資源を有効に活用出来る組織かどうかを分析する要素です。これまでのチェックで「経済価値」と「希少性」が高く、「模倣困難性」のある企業であることが分析できたとしても、それを十分に活用できる組織体制が整っていないと、事業継続はできません。
企業による組織体制の確立度合いや、企業文化の醸成、意思決定の速さや柔軟性などが分析対象となります。
VRIO分析のやり方
ferretより(https://ferret-plus.com/6401?page=2)
基本的には「1→2→3→4」の順に分析をしていきます。
それぞれの段階で、自塾に備わっているか、備わっていなかったら何を加えればよいかを考えていきます。
特に学習塾で重要になってくるのは、「2.希少性」と「3.模倣困難性」です。
学習塾という業態として、サービスのおおまかな内容はほぼ同じです。
また、基本的にサービスはすぐに模倣できてしまうことがほとんどのため、差別化のポイントが料金とマンパワー(講師)になってしまいます。
この希少性と模倣困難性があいまいであればあるほど、チラシや広告の効果が薄くなっていきます。
・ほかの塾と違って、何が違うのか?自塾しか提供できていない価値は?
・それはどれぐらい真似るのが困難なのか?
という部分に着目して一度考えてみてください。
さいごに
自塾の強みを見つけましょう!というのは当たり前の話です。
差がついてくるのは、その強みを「どれだけ因数分解できているか」だと思います。
強みが明確になれば、ターゲットが明確になります。
ターゲットが明確になれば、広告戦略が明確になります。
広告戦略が明確になれば、チラシやHPの改修ができるようになります。
集客でお困りの方は、ぜひ一度VRIO分析をしてみてください。