【コロナを乗り切る塾経営を考える Part1】PEST分析

株式会社Lacicuの山田です。

2020年、学習塾業界ではただでさえ教育改革が行われて大変なところに、コロナ・ショックで先行きが不安になっていると思います。
外部環境が大きく変わるため、この波をうまく乗り切れるところと、そうでないところとでは経営に大きな影響を与えることが予想されます。

経営者として、自分の置かれている状況を客観視し、どこに経営資源を投入するのかを見極めることが重要です。

今回は、PARTを3つに分け、有名なフレームワークを使って学習塾業界を分析していきます。

PART1 PEST分析
PART2 ファイブフォース分析
PART3 SWOT分析

今年は特に目まぐるしく状況が変化していますので、例年と同じ戦略をとることはリスクが高いと思います。
どのような視点で、どのような戦略をとっていけばよいか、
一緒に考えていきましょう。

 

PEST分析とは

PEST分析とは、主に経営戦略やマーケティングを行う際に使用し、自社を取り巻くマクロ環境(外部環境)が、
現在または将来にどのような影響を与えるか、把握・予測するためのもの手法です。
Politics(政治)、E= Economy(経済)、S=Society(社会)、T=Technology(技術)
という4つの視点から分析することから、それぞれの頭文字をとり「PEST」と言います。

このPEST分析で重要なことは、企業や個人の力では変えられないということです。

変えられないのであれば、いかに世の中の流れを正確に捉え「世の中の流れを味方につけるか?」という視点が重要になります。
特に学習塾業界は、学校という公教育と深く結びついている分、影響を受けやすいため注目する必要があります。
現に学校が休校することで、学習塾は大きな痛手を受けていますからね。

それでは、ひとつひとつの要因を具体的に見ていきましょう。

 

P(Plitics:政治的要因)

政治的要因とは、法律や条例、あるいは規制、補助金制度など、行政レベルのルールの変化のことを指します。

これは、時にマーケティングの前提となる「市場競争のルール」そのものを変化させてしまいます。
例えば、西欧ではGAFAに対しての規制が厳しくなっており、各国でデジタル課税が波及しています。
このように、政治的要因がもたらす変化によって、市場そのものがなくなってしまう可能性も秘めています。

学習塾業界にとっての政治的要因を考えてみると、上図のようになります。

具体例を上げると、ICT活用について文部科学省が工程表を示しました。

教育用のパソコンやタブレットが配布され、ビッグデータを活用した教育への流れは止められません。
この事実に速やかに対応した塾はこれを「機会」と考え、
対応が遅れた塾にとっては「脅威」となります。

 

E(Economy:経済的要因)

経済的要因とは、経済成長や景気、物価や為替動向など、経済の動向変化のことを指します。

これは、時に「売上」や「投資・コスト」に対して大きな影響を与えます。
新型コロナウィルスの影響で、世界的な経済の後退が予想され、国内の景気もまず間違いなく後退するでしょう。
そんな中でも、アルバイト講師の採用コスト、時給は上がっていきます。
売上を作りにくい上に、コストも上がっていくわけです。

さらに具体例を挙げていくと、
春の集客の動きがにぶく、春期講習が例年以上に売上を見込めないところが多いと思います。
それに加え、学校が夏休みを短縮する可能性があるため、夏期講習費もとれなくなるとなると、キャッシュが足りなくなる可能性もでてきます。

コロナの影響で中小企業向けの融資も充実してますので、まずは借入をしながら手元のキャッシュを分厚くしていくのもアリでしょう。

 

S(Society:社会的要因)

社会的要因とは、生活者のライフスタイルや意識の変化などを指します。

学習塾業界で特化した話をすると

集団指導や個別指導を取り巻く環境や(詳しくはこちら
大学進学率の上昇(詳しくはこちら

など、保護者世代と現役世代とでは大きな違いがあります。

また、コロナの影響でオンラインの対応をする学習塾が非常に増えて、普及の谷を一気に超えました。
保護者や生徒もオンライン対応への抵抗がなくなった分、学習塾の存在意義を問われることにもなります。

これを機会と捉えるか脅威と捉えるか、経営戦略として非常に重要な局面です。

 

T(Technology:技術的要因)

技術的要因とは、商品開発技術や生産技術、あるいはマーケティング技術の変化などを指します。

たとえばAIに関してで言うと、
スクラッチで一から構築せずに、すでにパッケージで作れるソフトウェアがAmazonやGoogleから提供されています。

AIサービスを作るのに、プログラミングスキルがなくても制作できる時代になっているのです。
このような時代に、ITリテラシーが低いということは致命的になっていきます。

また、異業界から教育サービスに参入する企業も増えてきています。
リクルートのスタディサプリが学習塾や予備校に与えた影響の大きさはご存知の通りだと思います。

今後画像認識AIやVRが発展していくことを考えると、オンライン家庭教師のサービスが
リアルタイムで授業を受けるのと変わらないクオリティになることが予想できます。

 

PEST分析を活用する

PEST分析をしたり、見たりするだけではなく、経営戦略に活かすにはどうすればよいでしょうか。

PESTの変化を収集した後は、それらの変化が自社にとって「機会」となりえる変化なのか?それとも「脅威」となりえる変化なのか?を検討し分類しましょう。

ここで気を付けたいのは、視点を変えることで一見「脅威」と思えるものが「機会」となったり、あるいはその逆もあり得る点です。

 

このPEST分析は、脅威を機会に変える具体策を考えるのに活用してください。
今までと同じやり方にこだわらず、変化していく学習塾が生き残っていきます。
そのためには改めて事業計画書を作成するのもよいかもしれません。

次回Part2、3でもフレームワークを使って学習塾業界の分析をしていきます。
このフレームワークを使い、どのようにロジカルシンキングをしていくのが重要です。
学習塾の先生だけではなく、経営者として、強い学習塾を作っていきましょう!

個別相談も承ってますので、気になる方はお気軽にお問合せください。

コロナ対策支援中!

この記事を書いた人

Lacicu 編集部

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