昨年に引き続き、経産省による学習塾業界のマクロデータと、上場企業決算資料から業界全体の動向を分析しました。


コロナが学習塾に与えた期間が最も長い年度だった2021年度。

学習塾業界もすごいスピードで変化しています。
まずはこの変化を正しく認識し、自塾の行く先を考えていくことが重要です。

内容解説と考察

学習塾業界 月別売上高前年比

新型コロナウイルスによる初の緊急事態宣言が発令されたのが、2020年4月7日~5月21日の期間でした。
この期間は学習塾にとって新年度の集客と重なり、その後も自粛ムードが高まったせいで2020年前期は大きなマイナスとなっています。

2021年度は、4月5日からまん延防止、4月25日から緊急事態宣言が発令されたにも関わらず、学習塾の集客状況は回復しました。
昨年度の決算を見ると、2020年の9月以降から大手学習塾では客足が回復していることが見て取れました。

コロナによるダメージは思っていたよりも少なく、2021年はほぼ例年通りに回復したと言えます。

気になる点としては、2021年度3月(2022年3月)が、前年比マイナスとなっていることです。
通常3月から始まる春の集客がマイナスということは、新学年の集客に失敗したところも多いのではないでしょうか。

生徒数・事業所数・従業員数 前年比

生徒数の前年比を見ると、コロナ直撃の2020年度で大きく下がり、回復した2021年度で持ち直しています。
しかし、3年で見てみると微減の傾向にあり、少子化の影響は確実にでているといえます。

事業所数の前年比を見ると、コロナの影響で廃業したところも一定数はありそうですが、そこまで多くはありませんでした。
直近3年間では事業所数は減少傾向にあり、これが来年度以降も継続するかどうかが注目のポイントです。

従業員数については、2020年度に従業員が増加しています。
これは、コロナによって少人数対応せざるを得なくなった学習塾が、従業員を増やすことで対応したことが理由として考えられます。
事業所数が減少しているにも関わらず従業員数は増加傾向にあり、大幅な単価増がない限りは1事業所当たりの利益は減少している可能性があります。

講師数 増減内訳

昨年度に続き専任講師数は減少しており、代わりに非常勤講師数が増加していることがわかります。

これは、集団指導形式の学習塾が苦戦しており、個別指導塾が増加している可能性が示唆されます。
オンラインによる指導形態も基本は1対1,ないし1対2であるため非常勤講師で対応しているのではないかと考えられます。

業界として、専任講師が減少しているということはサービスの質が低下しているという考え方もできるため、ICTを有効活用しながら経営とサービスの質を両立する方法を考える必要があります。

大手学習塾の動向

  • 早稲田アカデミー
  • 学究社
  • 城南進学研究社
  • ナガセ(東進ハイスクール)
  • ウィザス
  • リソー教育

上記企業の決算資料を比較した上でまとめています。
それぞれの戦略や次の打ち手にも言及しておりますので、ぜひ参考にご覧ください。

※考察に関しては制作者の所感が多分に含まれていることをご理解の上ご覧ください。

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