大学入試と学習塾の在り方~立命館大学とatama plusの連携をうけて考えること~


株式会社Lacicuの山田です。

12月23日、衝撃の発表がありました。
立命館大学とatama plus株式会社が、新しい大学入試について共同研究会を立ち上げるというニュースです。

詳しくはこちら

大学入試の在り方そのものについて問いを立てたという意味で、個人的にも非常に多くを考えさせられました。

アタマプラスのテクノロジーを使って、今度は「大学入試」をオンライン化できないか。
ところが、である。
わずか5ヵ月後の12月22日、立命館キャンパスに現れた森島朋三理事長と 稲田が記者会見で合意を発表したのは、 オンライン入試とは、全く「別の内容」だった。
大学入試そのものを大きく変えていく、実験を始めます──。
彼らは一体、なにをやろうというのか。
引用:【独占】アタマプラス×立命館、新しい「大学入試」をつくる|NewsPicks

このことが今後の大学入試、さらに教育業界にどのような影響を及ぼしていくのかを考察したいと思います。
基本的に全て私個人の考えですので、そこをご理解いただいた上でご覧ください。

 

大学入試の課題の根本

記事でも取り上げられていますが、現在の大学入試では

①大学後に必要となる学力が十分に測れていない
②大勢を一か所に集めての入試は居住地による格差がでる

という問題点があります。

①に関しては、入試のための勉強になってしまうという問題は昔からあります。
つまり、学校のテスト勉強と大学入試を受かるための勉強が必ずしも一致していないということです。

大学入試が基本的に一発勝負な側面があるため、そもそもの学びよりも、

・入試テクニックを重視したほうが実績も出しやすい

・大学受験が産業として成り立つために、予備校はテクニックに特化した授業を実施する。

・本来求めたい学力とはかけ離れる

というのが現在の構図だと思います。

②に関しては、地方の学生だと日程や金銭の都合で受験ができないだけで機会損失が生まれます。
全国に受験会場を設置している大学も多いですが、すべての機会を均等にすることは難しく、コロナで会場縮小を余儀なくされるなどの対応が迫られます。

会場での一斉入試は3密になってしまうのは避けられないため、そのリスクも常にはらむことになります。

 

改善策を考えてみた

①の改善をするために、大学入試に「学習歴」という考え方を入れることが重要ではないかと私は考えています。
たとえば、経済学部を志望する学生に数学の学習歴を問うことや、情報学部系に哲学や文学の視点を問うことです。
過去にどのようなことを、どれぐらい深掘って勉強してきたのかをポートフォリオとして残すことができれば、探究学習との相性も良く生徒の興味に沿った学習が可能です。

いかに「テストのための勉強」をさせないかがポイントだと思います。

②を改善するためには、やはりオンラインで大学入試を実施することだと思います。
実際に英検CBTがありますし、「駿台atamaオンライン模試」ですでに模試もオンライン化されているので入試をオンラインで実施することは可能だと言えるでしょう。

上記の2点とも、ITツールの利用を促進することで本質が改善される気がします。
学習の記録を蓄積、データ化することで学習歴の管理が容易になりますし、オンライン入試になれば地域の受験格差も緩和されます。(全てが緩和されるわけではありませんが)

 

考えなければいけないこと

入試も含め教育のオンライン化が益々進むことによって、次のことを再考する必要があるのではないでしょうか。

・塾、予備校の存在意義
学習塾、予備校というのは「良い大学に受かる」という意識が前提としてあり、受験のための勉強を教えることを得意としてきました。
それが「社会で生きる力」を含めて意識した入試や「学習の多様性」が評価されるようになると、塾や予備校で対応することが難しくなる可能性があります。

・そもそも選抜のための入試は必要か
「個」や「多様性」の時代といわれており、さらにそれが加速していく中で、そもそも学歴の高さが今後どれぐらい優位性を保てるのかは疑問です。
すでにアメリカでは採用条件に学歴不問とする企業が増えてきています。
そうなると、大学に行く意味はあるのか?何に対して努力すべきなのか?を幅広く導く能力が必要になりそうです。

 

さいごに

大学入試の話から、だいぶ飛躍したところまで考察してしまいました。
しかし、実際に求められている能力の変化のスピードは非常に速く、教育現場がついていけていないのは事実です。

2、3年後ではなく、10年後に学習塾は何を提供すべきでしょうか?

時代の波には誰も逆らえません。
大学に行く意味や、学習塾の在り方を改めて考えるひとつのきっかけになれば幸いです。

お時間がある方はこちらも併せてお読みください。

https://www.lacicu.co.jp/archives/3693

 

この記事を書いた人

Lacicu 編集部

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