ニューロサイエンスを活かした教育

人間の学習や教育、企業の人材育成などにおいても近年注目を集めているのが「ニューロサイエンス」の視点を持った取り組みです。

この記事では学習や教育においてニューロサイエンスが注目を集めている理由や、具体的にどのように教育に活かされるのかを解説していきます。

ニューロサイエンスとは?

「ニューロサイエンス(neuro science)」は日本訳で「脳科学」や「神経科学」とされます。その名のとおり脳の構造、機能や発達などを学術的に研究していく自然科学系の分野の1つです。

米国脳神経科学学会の公式見解では、主に下記の3課題を取り扱う分野であるとされています。

1.脳が通常どのように働いているのか表現し、明らかにする
2.神経系が、どのように生まれ、発達し、生涯を通じどのように維持されるのか解明する
3.神経のあるいは精神的な異常を予防し、治す手法を探し、発展させる

近年、このニューロサイエンスで脳機能を研究・理解し、これまで「当たり前」とされていた学習や教育のあり方が正しいのかどうかを検証したり、新たな仮説を打ち出す動きが高まってきています。

日本でも平成15年7月には教育現場の具体的な課題に対し、「脳科学と教育」の取り組みで改善が期待されているものについてまとめた「『脳科学と教育』研究の推進方策について」という報告書が公表されています。

生活習慣と感情で育まれていく人間の脳

ニューロサイエンスの分野では、脳は人間が生まれた瞬間には「白紙」の状態ではないことが明らかになってきています。

生まれたばかりの乳児ですら、学習をする基盤がすでに備わっているのです。

学習や教育をより効果的にするために子供の脳を育むというと、「知育をするには」など知識や学習に偏ったイメージを抱きがちです。

しかし現在のニューロサイエンスでは知識よりも、食事・運動・睡眠などの生活習慣が子供の「学習タイプ」に関わってくることがわかっています。

感受性などが幼少期に育った子供は、早期に「努力を要する抑制」という自制機能を発達させていると言われているのです。

このスキルが育まれていることで、誰かに言われないと勉強をしない「依存的学習」タイプになるか、自ら進んで勉強をする「自発的学習」タイプになるかが変わってくるようです。

ニューロサイエンスを知って、学習パフォーマンスを高める!

現時点でニューロサイエンスの分野で現在明らかになっていることの中でも、教育や学習に活かすことができそうなことがあります

  • 脳の「扁桃体(へんとうたい)」と呼ばれる場所は身体の各感覚器からの記憶情報をまとめて、それが「快」であるか「不快」を判断している。そのため、扁桃体が過剰に刺激されるとストレス反応(不安、緊張、恐怖など)を引き起こし、ネガティブな思考や行動を取らせてしまう場合がある。

→ 扁桃体への刺激を抑制するには、強制するような指導はせず、笑顔で子供と接することが大切!

  • ネットやスマートフォンの使用頻度が高いほど、脳の指令機能である「前頭皮質(ぜんとうひしつ)」にネガティブな影響を与える。よって、脳の伝達機能が低下する危険性があると多くの研究者が提唱している。

→ 意識的にネットやスマートフォンに触れない時間を作り、自然の中で遊んだり、運動、よく笑う、友達との会話、入浴など、脳の負荷を減らす行動をすることが大切!

上記のように脳には学習や教育に関わる場所があります。

脳の機能を知り、具体的にどのようなアクションを起こせば、学習パフォーマンスを高められるのかを知ることで、子供にとって良い学習・教育方法を提供するヒントになるのではないでしょうか。

ニューロサイエンスを意識した指導で学力アップ

ニューロサイエンスはまだまだ未知の部分が多い分野の1つです。

しかし現在わかっている知見だけでも、学習や勉強に活かすことができることが多くあります。

脳の機能や構造を理解し、生徒への関わり方や声がけを工夫することで学力アップに繋がるかもしれません。生徒の学習方針などを決めるヒントにしてみてください。

 

この記事を書いた人

Lacicu 編集部

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