これからの社会に不可欠!「アントレプレナーシップ教育」の可能性
こんにちは、株式会社Lacicu広報の松永です。
皆さんは、「アントレプレナーシップ教育」という言葉をご存知でしょうか?これからの社会を生きていくために必要だと注目されているものです。
「アントレプレナーシップ教育」とは?
アントレプレナーシップは、フランス語の「業を立てる人」という意味の「アントレプレナー(entrepreneur)」に「シップ(ship)」がついたものです。日本でも使われるようになりました。
当初は「起業”家”教育」という意味合いで使われていましたが、最近では「起業”力”教育」と訳されることも増えています。
つまり、起業のためのテクニックを教えるという狭義ではなく、広義の起業する力、その情熱を育成する教育ととらえるべきではないかという考えも出てきていることから、企業だけでなく教育の現場でも注目されています。
もともとこの「アントレプレナーシップ教育」は、アメリカで活用されていたものでしたが、現在はヨーロッパにも広がっています。
2016年の“Entrepreneurship Education at School in Europe”レポートに、以下のことが掲載されました。
「起業家教育は、小中高レベルで一般的能力およびカリキュラムをまたがった目標として、明示的に国のカリキュラムの中で認識されている」つまり、小学生の段階から、ビジネスや協働などを段階ごとに学んでいくのです。
各時期の学習成果は以下のようになっています。
・小学生レベルでは、例えば、モノを買うにはお金を払う、お金は仕事をして稼ぐということを理解し、また、他の子と協力するノウハウを学ぶことが期待される。
・中学生レベルでは、例えば、異なる教育レベルの人たちの労働市場における機会を理解し、また、所有者、起業家、雇用主、従業員や失業者となることの意味を知ることが期待される。
・高校生レベルでは、例えば、職業選択のひとつとして起業があることを理解し、また、自分たちが起業家となることが可能であることを理解することが期待される。
これらの教育を、すべての学生を対象にすることにより、人々が起業の素晴らしさ、必要性を理解し、起業を職業選択のひとつとして捉えたり、起業のサポーターの一人となってくれることを目指すということである。
これは、一企業人として社会に出て行く上でも必要となるマインドとされています。
「アントレプレナーシップ教育」で期待されるスキル
アントレプレナーシップの意味は広義であり、役割もひとつではないことから、どのようにスキルが必要かを定義することは難しい部分もありますが、起業に必要なスキルとして以下のようなものが育成されていくと期待されます。
マネジメント力
アントレプレナーシップが注目されている背景には、企業内でのイノベーションを起こすことが重要視されていることがあります。イノベーションを起こすのには、既存のルールに捉われない組織の立ち上げが必要であるとされています。その組織を統率していくマネジメン力がアントレプレナーには求められます。
リーダーシップ
マネジメント力の一部ともいえますが、ゴールに向かって周囲をうまく巻き込んでいく力であるリーダーシップもアントレプレナーに求められるものです。
責任能力
アントレプレナーには責任能力も求められます。新たな価値で新たな市場を開拓していくのがアントレプレナーの役割ですから、既存の成功モデルがなく、順風満帆なことばかりとは限りません。壁にぶつかったりうまく事が運ばないときに人のせいにせず、自らの行動に責任を持てる人、そして失敗も次のステップへの発奮材料にできる気質を持っていることが求められます。
ビジネスノウハウ
アントレプレナーシップを持ち、新しいビジネスを起こしていく人は、ビジネスノウハウも持ち合わせていることが大事です。独創性や想像力に長けていても、アイディアを活かすノウハウを持ち合わせていなければビジネスを実現させるまでには及べないでしょう。
人脈(対人能力)
どんな仕事にでも対人能力は必要ですが、特にアントレプレナーは優れた対人能力と人脈を必要とします。新しいことに挑戦するにはさまざまな人的障害がつきまとうものです。それをクリアしていくにはやはり、人脈が味方になるでしょう。近年ではベンチャー企業を立ち上げる起業家としてだけではなく、既存の企業でもこれらのスキルが必要とされるようになりました。その背景として考えられるのは、市場の変化により企業がイノベーションを必要としていることがあります。新たな価値を持つビジネスを打ち出すことが求められるようになっています。そこで、独創性、創造性に長けるアントレプレナーシップを持つ人が注目されるようになったのです。
日本での「アントレプレナーシップ教育」の現状
日本の生徒の世の中への無関心さを変えるため、社会的課題解決に対する情熱を植え付けることができれば、大学に入ってからの自らの行動を変えることにつながるのではないでしょうか。
文部科学省も「次世代アントレプレナー育成事業」に取り組んでいるほど、日本でも注目されてきています。
しかし、「起業に関する教育、研修をいつ受けたか」という設問に対しては、そもそも受けたという回答が4割を割っており、「中学・高校」にいたっては1%だけというさみしい結果となっています。
出典:「ベンチャー白書2018」
この「中学・高校」のグラフが100%になるくらい、高校までの間に起業力教育を全生徒が受けることになれば、日本は相当変わってくるのではないかと考えられています。
しかし、今の日本の高校教師に、いきなりそれと同じ起業力教育を始めろと言ってみたところで、実現はおぼつかないどころか不可能でしょう。
つまり、まず教える側が知っていくことが喫緊の課題なのです。
日本での「アントレプレナーシップ教育」のこれからの可能性
上記したように、日本でも「アントレプレナーシップ教育」が注目されているのは事実ですが、すぐには教員への研修が追いつかないとされているので、重要になっているのが『外部のステークホルダー』です。
つまり、学校外での教育の場で「アントレプレナー教育」ができるようになることは、ニーズがさらに高まっていく中で大きな武器となるでしょう。
方法はもちろんさまざまですが、子どもたちがそれぞれの目標達成に向かって、他者との関わりも含めた経験の中から、問題を解決していくプロセスは、「アントレプレナーシップ」に求められるスキルを複数獲得することができます。
受験コンパスで詳細な計画(Plan)を作り、実行(Do)と評価(Check)を先生が指導していき、改善(Action)に繋げるというサイクルは、社会人の基本スキルを育てるという意味でも非常に重要です。
ぜひ受験コンパスを使って、子どもたちが社会に出てから活かせるスキルを育成しつつ、それを教えられることを強みの一つにしてみてはいかがでしょうか?
参照:
高校生への「起業力」教育が日本の社会を変えていく
https://news.livedoor.com/lite/article_detail_amp/15785244/
日本の「起業力」教育、まず教師の育成から着手せよ
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55406?page=1
アントレプレナーシップとはなにか 日本での取り組みと求められるもの
https://docoic.com/48494