結局どうなる?大学入試英語4技能 外部検定利用入試

結局どうなる?外部検定利用入試

2021年、文部科学省は2025年1月以降の大学入学共通テストでの英語民間試験の導入を正式に断念しました。入試改革の二大看板の一つとして注目を集めていましたが、地域差や家庭の経済格差による不公平を解消するのが難しい、ということを主な理由として実現は叶いませんでした。

 

共通テストでの導入は断念された一方、大学が個別に「英語外部試験利用」として英語民間試験を利用するケースは年々増えています。
2021年度、英語外部試験を入試に利用した大学は412校に上り、全体の半数以上となっています。

 

そもそも英語4技能とは?

英語を学習する上での、読む(Reading)書く(Writing)聞く(Listening)話す(Speaking)の4つのスキルを英語4技能と呼びます。

2017年、6万人の高校3年生を対象に文科省が実施した英語力調査の結果によると、日本の高校生は「話すこと」と「書くこと」の項目が他の2つに比べて依然低く留まっているとのことです。

日本の教育現場では問題を解くことや暗記が優先され、スピーキングやライティングの力が伸びない傾向にあり、このような現状を改善しグローバルに通用する人材を育てる試みとして、上記の英語民間試験の導入が検討されていました。

 

英語民間試験の種類と活用してる主な大学

国内の大学における英語外部検定の利用入試は一般選抜型、総合型、推薦型のそれぞれで年々増加傾向にあります。 民間試験のスコアによっては点数が加点されたり、スコアがそのまま英語科目の得点として換算されたり、そもそも大学が定めた以上のスコアを保有していないと受験できない入試の形式も存在します。
体系的にバランスよく英語を学ぶ意欲のある人材を求める傾向が強くなってきていると言えるでしょう。

 

現在、大学入試で活用できる主な英語外部検定

実用英語技能検定(英検)

年間300万人以上が受験しています。国内での汎用性で考えれば一番と言っても良いでしょう。

TEAP

学生向けの試験であるため、採用している大学が多いです。大学教育に備えた内容であることが特徴です。

GTEC/CBT

ベネッセが実施している、年間受験者数100万人を超える試験です。中高生対象の試験は比較的受験料が安いのが特徴です。

IELTS

海外へ留学したい人、もしくは移住を考えている人向けのアカデミックな試験です。他の検定に比べて受けられる場所が少ないこと、受験料がやや高額なことが特徴です。

TOEFL iBT

世界的に知名度の高い試験です。すべてコンピューター上での試験になっているため、少なからずタイピング力が影響する部分があります。

TOEIC

アジアでの知名度が高い英語試験です。ビジネスシーンで用いられることも多いため社会に出てからも利用できるのが特徴です。 

 

どれを受ければいいの?

どれがどう違うのかよく分からない…という方に向けて、簡単にではありますがおすすめの検定をまとめてみました。

地方に住んでいらっしゃる方の場合、受験会場の多い英検TOEICがおすすめです。
出来る限り出費を少なく抑えたい!という方には比較的検定料の安いGTEC英検がおすすめです。
何度も繰り返し受験して一点でも得点を上げたい!という方には年間受験回数に制限のないIELTSTOEICTOEFLがおすすめです。

ただ、どの外部試験を利用するかは大学によって異なるため、志望校群が決まってらっしゃる方はまず入試要項をチェックしましょう!

 

活用している有名な大学

青山学院大学
国際政治経済学部(国際政治経済学科・国際コミュニケーション学科)は、英検準一級以上/IELTS5,0以上/TOEFL iBT57点以上のいずれかを保有していればB方式に出願することができます。

総合文化政策学部(総合文化政策学科)では、TEAP260点以上/英検CSEスコア2100点以上/IELTS4,5以上/TOEFL iBT50点以上/TOEIC940点以上/GTEC1100点以上のいずれかを保有していればA方式に出願することができます。

国際基督教大学(ICU)
教養学部アーツ・サイエンス学科のB方式は、IELTS 6.5以上/TOEFL iBT 79以上/Cambridge English 175以上/GTEC CBT 1300以上のいずれかで出願が可能です。

上智大学
全学部にTEAPスコア利用型があります。この型は学校独自の英語試験を行わず、TEAPのスコアがそのまま得点として換算されます。

 

外部検定利用入試を上手く活用しよう

上で挙げた以外にも英語の外部検定を利用する大学・入試形式は沢山存在します。
外部検定利用入試を上手く活用することで、志望の大学に複数回チャレンジできる大学独自の問題を対策する負担が減る加点や優遇で有利に受けられる、と受験を優位に進めることが出来ます。
大学独自の問題はもちろんですが、民間試験の対策にも力を入れる時代になってきています。入試直前に慌てて英検を受けに行く、ということにならないよう、高校1、2年生の段階から「今年は英検の3級に合格する!」「三年生までにTOEICで〇〇点以上を目指す!」と、長い目で見たスケジュールを立てておくと良いでしょう。

一方、使用できるスコアや級は大学によって「2年以内に習得したもの」などの利用期限が定められていることが多くあります。募集要項をしっかり確認しましょう。また、外部検定利用形式は募集人数がかなり限られていることも多く、大学によっては通常の試験より遥かに倍率が高いこともあります。昨年は穴場だったのに蓋を開けたら今年は10倍以上も倍率があった、という事態もよく起こります。通常の試験の勉強も気を抜かずに、そして民間試験もフル活用しながら受験戦略を練りましょう!

この記事を書いた人

Lacicu 編集部

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