勉強効率を上げるための復習のすすめ エビングハウスの忘却曲線

勉強効率を上げるための復習のすすめ

勉強をするとき、復習のタイミングって考えながらスケジュール組んでいますか?
闇雲な勉強スケジュールで進めてしまうと、無駄な時間を過ごしてしまうかもしれません…。どういうことなのか、説明していきます。

 

このグラフ、一体何でしょう?

有名な表なのでご存じの方も多いかと思います。

これはドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスの著書『記憶について︰実験心理学への貢献』の内容に基づいて作られた「忘却曲線」と呼ばれるグラフです。

実際の所エビングハウス自身が「忘却曲線」と銘打ってグラフを発表したわけではありませんが、エビングハウスが行った実験を元に作成されています。

今回はこちらともう一つの実験を元に、勉強効率を上げるための復習スケジュールについてお話したいと思います。

このグラフについては、まず最初に一つ注意点があります。
曲線を見た時に、

なるほど。人は何かを覚えても20分後には42%を忘れ、1時間後には56%を忘れ、

1日後には74%を……

と読み取るのは誤りです。

エビングハウスが実験を通して明らかにしたのは、「復習した際の脳の節約率」です。

と言ってもあまりピンと来ませんよね。

要は「一度学習したものを再度記憶する時に、どれくらい勉強時間が節約できるか」ということを、時間経過と共に表したグラフになります。

例えば、ある日30分かけて英単語の暗記をしたとします。丸1日後に同じ部分をもう一度暗記し直そうと思ったら、およそ20分の時間で覚えられるということになります。大体34%の時間を節約できていますね。

 

最適な復習のタイミングはいつなのか?ということを考えるために次に紹介したいのは、
カナダのウォータールー大学が発表した『Curve of Forgetting(忘却曲線)』という研究結果です。

この発表によると、学習をしてから24時間以内に10分間の復習をすると、記憶はほぼ100%に引き上げられ、さらに1週間後には5分間の復習をすることでまた定着度が上がるとのことです。

ちなみに次の日のうちに全く復習をせず、学んだ内容をぼんやりと思い出すこともしないと、50%〜80%の記憶は失われてしまうそう。

そんな状態でさらに一ヶ月過ごすと、もはや学習した内容の2,3%ほどしか脳に残っておらず、一から勉強し直さないといけなくなってしまいます。学生の頃、定期テスト前に「こんなこと授業でやったっけ!?」と慌てふためいた経験がある方は、恐らくこのように記憶が定着せずほとんど失われてしまったせいだと思います。

以上、2つの実験をご紹介しました。これらを勉強に応用するには、結局どのようにしたら良いのでしょうか?

①最初の復習は早めに!

エビングハウスとウォータールー大学の研究結果を踏まえると、
やはり面倒でも勉強した内容は一旦24時間以内に復習することをおすすめします。そうすることで最大限勉強時間を節約できる上に、定着度をぐっと引き上げることが可能だからです。

でも次の日に復習しても34%の時間しか節約できないじゃん…」と途方もない気持ちになっている方に朗報です。エビングハウスの実験は実は「無意味な音節」を記憶する試みでした。
学生の皆さんが学んでいる意味・意義のある勉強内容は、お互いに関連し合ったり大きな流れで繋がっていたりするため、エビングハウスが提唱したよりも断然復習の時間を節約できます。

②復習は複数回。期間はだんだん空けていく

ウォータールー大学は、

24時間以内に10分を復習に費やすことで、記憶のカーブはほぼ100%に。7日後には5分で再び脳は活性化し、30日後には2,3分で記憶は蘇る

と述べています。
つまり繰り返し同じ内容を記憶することで忘却の曲線はだんだん緩やかになり、そしてどんどん思い出しやすくなるのです。

よって復習をする際は、1回目は24時間以内、2回目は7日後、3回目は30日後…という風に最初は間を開けず、次第に期間を伸ばしていくイメージでスケジュールを立てることをおすすめします。

毎日時間を作り、コツコツと復習を続けるのは正直とても大変なことです。しかし長期的に見た時、とても大きな時間の節約と記憶の定着に繋がります。限られた時間で同じように勉強しているライバルに差をつけるとすればここだと思います。是非参考にしてみてくださいね。

もし塾や学校の先生方で「復習がなあなあになってしまっている」「やろうと思っているけどタイミングが掴めない…」と困っている生徒さんを見かけたら、これらの内容を参考に上手くスケジューリングをしてあげてください。

学生の時間というのはとても貴重です。勉強以外の時間もしっかり確保するためにも、上手く復習を組み込むことで勉強効率を上げましょう!

この記事を書いた人

Lacicu 編集部

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