【当たり前を疑う~Unreal~ #4】資格は本当に有用か?
▼当たり前を疑う~Unreal~
教育に携わる者として、今の当たり前がこれからもそうである保証はありません。
むしろ、変化のスピードが早い昨今では今の当たり前を疑う方法を子どもたちに伝えていくべきではないでしょうか。学習塾コンサルティング、異業界のマーケター、学校の進路指導担当、プロコーチなど、
様々な形で教育に携わる人材を抱えるLacicuならではの特集記事です。このシリーズを通して、今の当たり前を疑うような問いを皆様に投げかけていきます。
「問い」から「未来」が生まれる時代。
その始まりをつくる。
「将来に備えて、資格をとっておきなさい!」
「資格があれば将来食べていける」
こんな話を聞いたことはないでしょうか?
では、なぜ資格があれば安心なのでしょうか?
このことについてちゃんと説明できる人はどれぐらいいるのでしょうか?
今回はそんな「資格」の当たり前について疑ってみたいと思います。
資格の種類
資格には様々な種類があります。
まずはそれを正しく理解しておきましょう。
国家資格
国家資格とは、国の法律に基づいて国や国から委託を受けた期間が実施する資格です。
資格の制度に法的な裏付けが存在し、中央省庁または都道府県レベルの地方自治体が所管する資格が国家資格とされます。
国家資格はさらに3つに分類できますので、後程詳しく説明していきます。
国家資格は難易度の高いものが多いですが、中にはそれほど高くない資格もあります。
民間資格
民間資格とは、民間団体や企業、個人等が、独自の審査基準を設けて任意で認定する資格のことを言います。
国家資格と同等に評価されるものから社会的な評価のほとんどないものまで、様々なものが存在します。
代表的な民間資格としては、
臨床心理士、医療事務などがあります。
公的資格
公的資格とは、国家資格と民間資格の中間に位置づけられる資格で、民間団体や公益法人が実施し文部科学省や経済産業省などの官庁や大臣が認定する資格です。
何らかの理由により公的性質を帯びている国家資格以外の資格を言います。
代表的な資格には、
日商簿記検定や英検、介護支援専門員、秘書技能検定などがあります。
商工会議所や文部科学省が主催や後援のものが多いです。
国際資格
国際資格とは、国際的に通用するものや国際関係の仕事に関係するもので、以下のような定義があります。
- 公的な国際機関が認定を行うもの
- 国際公法(条約)に定められている資格
- 複数国に拠点を持つ団体が認定する民間資格
- ある特定の外国内で通用する資格
- 国際関係の職業で活用できる日本国内の資格
TOEICや経営学修士(MBA)、PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)などが有名です。
金融・会計やIT、語学関連の資格が多い印象です。
資格がなければ働けない仕事
資格がなければ業務などに法的な制限がされるものとして3種類あります。
業務独占資格
業務独占資格とは、その資格を取得している者以外が従事することを禁止されている業務を行うことができる資格のことです。
資格を持たない者が資格の名称や呼称を使用することも法律で禁じられています。
例:弁護士、医師、看護師、宅地建物取引士、司法書士、行政書士、社会保険労務士など
名称独占資格
名称独占資格とは、その資格の取得者以外が資格の名称や呼称を使用することを法律で制限している資格のことです。
資格を取得していない者が名称独占資格の名称を使用することは法律違反となります。
ただし、業務独占資格とは異なり、資格がなくても業務を行うことはできます。
例:介護福祉士、中小企業診断士、調理師、保育士など
必置資格
必置資格とは、それぞれの事業において必ずその資格保持者を置かなければいけないと法律で定められている資格です。
資格保持者がいなければ事業が行えないため、就職・転職では有利になることがあります。
例:食品衛生管理者、宅地建物取引士、登録販売者など
「資格を持っている=食べていける」は間違い
上記で説明した資格のうち、例えば業務独占資格を持っていれば安心と考えるのは非常に危険です。
弁護士の人数ですが、2000年と2019年を比較すると2019年は2.4倍増加していますが、その代わりに平均年収が減少しているというデータがあります。
資格の最高峰といわれる弁護士でもこのような実情です。
資格をとるだけで安泰ではない理由は、以下の3点があると思います。
理由①:実務経験のほうが重要視されるから
⇒特に就職や転職活動の際は、実務経験がないのに資格だけを持っていてもほぼ意味をなしません。
業務独占資格を除いて、重要なのは実務経験であり実績になってきています。
理由②:希少性が少ない資格が増えているから
⇒資格は、所持している人が少なければ少ないほど価値が高まります。
希少性の高い資格がどんどん減ってきていることと、ITサービスで代替できることが増加してきています。
理由③:世の中のニーズは変化するから
⇒今需要が高い資格が、10年後も同様かどうかは誰にもわかりません。
資格は何かをかなえるための「手段」でしかない
資格を取るために努力した経験は、間違いなく本人のためになります。
ただ、将来の保険のためだけでに資格を取得することはあまり意味がないのではないのでしょうか?
特にIT技術やAIが格段に進化していく昨今では、未来を予測することは不可能です。
「何がしたいのか?」
「何が必要なのか?」
を明確にしていくことの価値が益々高まっていくと思います。
そこに最も直接的に関われるのが、学習塾の最大の価値ではないでしょうか。