GIGAスクール構想の現在地と学習塾に必要とされる役割とは?
GIGAスクール構想の現状
10年ぶりとなる新学習指導要領の導入にともない、2019年に文科省は「GIGAスクール構想」を打ち出しました。
GIGAは、「Global and Innovation Gateway for All」の略です。
これは全ての児童・生徒に1人1台の端末と高速大容量の通信ネットワークを整備し、教育現場と学びを革新する取り組みです。
当初は5年ほどかけて順次行われる予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により前倒しで環境整備が進められました。
文科省の調べによると、2021年3月の時点で児童・生徒1人1人への学習用コンピュータの配備はおおむね完了していますが、教室のインターネット回線の速度が遅い、教員にICTに関する知識が無い、自治体によって方針が異なる等、問題点も数々挙げられています。
しかし、これから子供たちが生きる時代にICTの活用スキルは切っても切れないもの。新学習指導要領には学校でのプログラミング指導の必修化も盛り込まれています。教育現場のICT化は今後も加速していくと見られます。
学習塾の役割
学校教育が大きな転換期を迎える中、学習塾のあり方はどう変わるでしょうか?
まず、補習型の学習塾のニーズは今までと変わらずあり続けるでしょう。GIGAスクール構想がより進んだとしても、学校の授業についていけない生徒、学校の授業からあぶれてしまう生徒はいつの時代も必ず一定数出てきます。
一方起こり得る変化として、今後「小中高一貫学習塾」という新しい塾のカタチが生まれるかもしれません。
世田谷区で導入実績のあるQubena等、個別最適化されたICT学習によって自分の学年より進んだ内容を学ぶ子供たちが出てきています。
今の日本の制度ではどうしても学校の先取り学習には限度があり、海外のような飛び級も難しいですが、学習塾内であれば可能です。そのためもはや「中学3年生」「高校2年生」といった既存の枠組みではなく、小学校〜高校まで一貫で広く面倒を見る場所としての塾、というカタチが生まれるのではないかと思います。
どんどん学習を進めていく子たちに学年横断的に対応し、学習に抜けや穴がないかチェック、サポートする役目を担うようになるかもしれません。
学習塾の講師に求められること
上記のような変化が訪れるかもしれない将来、少なくとも学習のICT化が確実に進む中で、学習塾の先生には何が求められるのでしょうか?
まず必須なのはデジタルリテラシーです。PCやタブレットといったハード機器に対する理解ももちろんですが、情報を取り扱うにあたっての最低限の危機管理スキルや知識は備えておく必要があります。
また、今後はプログラミングの技能も求められるかもしれません。詳細は固まっていないものの、新教育指導要領からプログラミングが必修化されています。この流れは、ますます強まると見られるので、ある程度のプログラミング知識は身につけておくに越したことはないと思います。
まとめ
GIGAスクール構想に新教育指導要領にと、教育現場に革新の波がやってきています。学習塾にもその余波は広がるでしょう。映像授業にAI学習等、新たなサービスが沢山出てくる中、これまで通りの役割をこなしながらも新たなニーズを敏感にキャッチし対応していくことが、これからの学習塾運営には必要なのではないでしょうか。