【経済学で見る】今さらだけど非認知能力って何?

株式会社Lacicuの山田です。

前回のコラムの反響が良かったため、【経済学で見る】シリーズの第2弾です。

 

「不思議なもので、教育という分野に関しては、まったくといっていいほどの素人でも自分の意見を述べたがるという現象がしばしばおこる」

ベストセラーになった「統計学は最強の学問である」の著者である西内啓氏の、同著の冒頭の言葉です。

特に教育に携わっている方は、それぞれご自身の教育方針があると思います。

 

塾として学力を上げることはもちろんですが、最近では「自立」や「自律」など、成績を上げることを目標としていないところも増えてきていると感じています。

そこで、今回は勉強以外の部分をクローズアップするために、非認知能力についてご説明致します。

少し前にやたらとテレビや雑誌で取り上げられた時期がありましたね。

 

「自立型」の学習塾をご検討されている方から、保護者にどのように説明すればよいのか?という質問をいただくことがよくあります。

そこでお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください!

 

認知能力と非認知能力

認知能力とは、学力テストやIQテストで計測される能力のことです。

一般的に、学習塾はテストの点数を上げることや受験合格にコミットをしているため、言い換えると認知能力の向上を目的としていると言えると思います。

 

一方で、非認知能力とは「忍耐力がある」や、「社会性がある」「意欲的である」といった、人間の気質や性格的な特徴のようなものを指します。

学習指導要領の「生きる力」といわれるようなものです。

 

気質や性格的な特徴である非認知能力は、本来目に見えないものですが、心理学的な方法を使って数値化することができます。

そして、その数値を分析した結果、非認知能力は、認知能力の形成にも一役買っているだけでなく、将来の年収、学歴や就業形態などの労働市場における成果にも大きく影響することが明らかになってきました。

 

非認知能力の研究

シカゴ大学のヘックマン教授は、アメリカの一般教育終了検定(日本でいうところの高卒認定試験)の分析を行い、非認知能力の重要性を明示しました。

 

その研究によれば、高校に通わずに一般教育終了検定に合格した生徒は、高校を卒業した生徒に比べて、年収や就職率が低い傾向にあることがわかりました。

もしも学力などで計測される認知能力のみが重要だとすれば、同程度の学力を持つ一般教育終了検定に合格した生徒と、高校を卒業した生徒との間に大きく差がつくはずがありません。

 

ヘックマン教授らは、学力テストでは計測することができない非認知能力が、人生の成功において極めて重要であることを強調しています。

おそらく、学校とはただ単に勉強をする場所ではなく、先生や同級生から多くのことを学び、非認知能力(誠実さ、忍耐強さ、社交性、好奇心の強さなど)を培う場所ということだと思います。

 

その他にも、非認知能力の研究としてはペリー就学前プロジェクトが有名です。

詳しくはこちら

 

特に重要な非認知能力とは?

上記の表にあるように、非認知能力といってもいろいろなものがあります。

この中で、人生の成功のために特に重要といわれている2つをご紹介致します。

 

なぜ重要かというと、

●学歴・年収・雇用などの面で、子どもの人生の成功に長期にわたる因果効果がある

●教育やトレーニングによって鍛えて伸ばせる

ことが、これまでの研究の中で明らかになっているものです。

 

1.自制心

「マシュマロ実験」と呼ばれる有名な研究があります。→詳しくはこちら

まず、子どもにマシュマロを差し出します。

次に、「いつ食べてもいいけど、大人が部屋に戻ってくるまで我慢できればマシュマロを2つ食べれますよ」とだけ伝えて、大人は部屋を退出します。(この時点で大人がいつ部屋に戻ってくるかは、子どもにはわかりません)

そして、部屋を出て15分後、大人が戻ってきます。

この結果、186人のうち約3分の1は15分間我慢して2つのマシュマロを手に入れることができましたが、残りの3分の2は我慢できずにマシュマロを食べてしまっていました。

 

その後、彼らの人生を追跡して調査を行った結果、彼らが高校生になったときにはかなりの差が生じていることが判明します。

大人が戻ってくるまで我慢して2つのマシュマロを手に入れた子どもは、我慢できずに食べてしまった子どもよりも、SAT(日本のセンター試験のようなもの)のスコアがずっと高かったそうです。

 

2.やり抜く力

この能力は、ペンシルバニア大学の著名心理学者、ダックワース准教授が「成功を予測できる性質」として発表して以来、注目を集めました。(ダックワース准教授のTEDトークは非常におもしろいのでぜひ一度ご覧ください→こちら

 

ダックワース准教授は、やり抜く力を「非常に遠い先にあるゴールに向けて、興味を失わず、努力し続けることができる気質」と定義しました。

このやり抜く力も、心理学的なアプローチで、12問ほどの質問に答えてもらうことで簡単に数値化できます。

「陸軍士官学校の訓練に耐え抜くことができる候補生は誰か」

「貧困地域に配属された新米教師のうち、学年末に最も子どもの学力を上げることができるのは誰か」

「英単語の全国スペリングコンテストで最終ラウンドまで残る子どもは誰か」

それぞれまったく異なる状況で、求められる能力はバラバラのように思えますが、ダックワース准教授は、「成功する人」を事前にかなり高い精度で予測できました。

「やり抜く力」が高い人は、いずれの状況でも成功する確率が高かったからです。

 

非認知能力はどうやって伸ばすのか?

認知能力の改善は年齢的な要素が大きいですが、非認知能力に関しては成人後でも鍛えられることが最近の研究でわかっています。では、どのように鍛えればよいのでしょうか?

 

重要な非認知能力のひとつとしてご紹介した「自制心」は、筋トレと同じ要領で鍛えるとよいと言われています。

具体的に言うと、継続と反復です。

また、心理学の分野でも、「細かく計画を立て、記録し、達成度を自分で管理する」ことが自制心を鍛えるのに有効であると多数の研究で報告されています。

 

もうひとつの重要な非認知能力である「やり抜く力」はどうでしょうか?

スタンフォード大学の心理学者であるドゥエック教授は、この力を伸ばすためには「心の持ちよう」が大切であると主張しています。

「自分のもともとの能力は生まれつきのものではなくて、努力によって後天的に伸ばすことができる」ということを信じる子どもは、「やり抜く力」が強いことがわかっています。

ドゥエック教授らの実験では、親や教師から定期的にそのようなメッセージを伝えられた子どもたちは、「やり抜く力」が強くなり、その結果、成績も改善したことが明らかにされています。

 

 

最後に

ここからは私自身の見解になります。もう少しだけお付き合いください。

今回の記事を書くために色々と調べていくうちに、受験コンパスの新たな可能性について気づきました。

 

受験コンパスを使って年間計画表を作成し、毎週の面談で記録し、達成度をはかることを継続・反復していけば、社会に出てから成功する大事な「自制心」を伸ばすことができるわけです。

また、受験コンパスで推奨している毎週の面談で「自分のもともとの能力は生まれつきのものではなくて、努力によって後天的に伸ばすことができる」ことを伝え、「やり抜く力」を伸ばしていくことも可能です。

 

映像授業が当たり前になってきいる今の高校生にとって、教科を教えるという付加価値はこれからどんどん減っていくと思います。

社会に出ても活躍できる人材を輩出することが重要であり、そのためには成績という認知能力だけでなく、非認知能力まで向上させられる学習塾が今後は求められることが予想されます。

 

受験コンパスを使った学習方法は、まさに非認知能力を高めるものであり、保護者・生徒への新たな訴求ポイントであり、他塾との差別化にもなります。

Lacicuとして、ただシステムを提供するだけでなく、本当の意味での子どもの成長をお手伝いできるようにこれからも精進していきたいと思います。

 

来春のチラシでは、【「自制心」と「やり抜く力」を鍛え、社会に出ても活躍できる人材を育てます!】というPRはいかがでしょうか?

 

長くなりましたが、最後までご覧いただきありがとうございました。

もっと詳細を知りたい、その他ご意見がありましたらこちらまでお願い致します。

この記事を書いた人

Lacicu 編集部

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