統計データで見た学習塾の未来

いつも弊社コラムを見ていただきありがとうございます。ラシク代表の服部です。

今回は、経済産業省が発表した学習塾産業の実態から今後の学習塾業界について予想していきたいと思います。

学習塾業界が、厳しいのはわかりきっていることですが、実際どの程度教室が減っているのでしょうか?

4年間で3000教室減少

2013年から、4年間で個人塾は、約2,000教室減少しました。法人教室は、約1,000教室減少ですね。

減少率でいうと、法人教室も個人教室も7%減少なので、この数字だけ見れば共に同じぐらいの影響と言えそうですね

では、もう少し掘り下げていきましょう。

生徒数が大幅減少。高校生の個別のみ生徒数増

それでは、生徒数についてはどうでしょうか?

まず総計の数字をみてください2013年から4年間で63万人通塾生が減少しております。

減少率は15.3%です。減少率は、教室数よりも大きいですよね。つまり教室数の7%だった為、1教室あたりの生徒減のインパクトが大きいことがわかります。

続いて、集団指導の小計と個別指導の小計を見比べてみましょう。

集団指導は約52万人減少、個別指導は12万人減少です。集団指導の減少率は17%個別指導の減少率は、13%です。

集団授業の減少率にも目を引きますが、個別指導の減少率も想像以上です。

でも、この中で唯一上昇している生徒数が高校生の個別指導です。4年前に比べて4%上昇しています。

高校生の個別指導のニーズは増えているのでしょうか?

さらに他の数字も見ていきましょう。

業界市場は、360億減少。生徒一人当たりの単価は、上昇傾向。

学習塾の年間売上高の情報になります。

上段の計をご確認ください。業界の市場規模は、360億ほど減少しています。

減少率は、3.7%です。生徒数の減少率に比べて減少幅は少ないですね。

ここでも、注目するべきことは個別指導の高校生の売上高です。唯一20%近くも向上しています。

高校生の単価自体をここから逆算すると、

2013年の高校生単価は、40万円
2017年の高校生単価は、46万円

となり、顧客単価が15%も向上しています。

冷え切った学習塾業界の中、唯一明るい光を照らしているのが、個別指導の高校生かもしれません。

高校生の個別指導の市場は今後も加速していくのか?

何故、高校生の市場が伸びているのか?今後も加速していくのかについて考察をしていきます。

複数の要素が絡んでいますが、今回はシンプルに2つのことに絞っていきます。

・保護者の大学進学への意識

これは、今後加速していく可能性が高いです。

保護者の経験が、子どもへの教育につながっていることが多々あると思います。

実は、今の高校生の保護者は就職氷河期に該当した世代なのです。

1993年から始まった就職氷河期ですが、現在の48歳前後が該当します。

一旦終焉する2005年まで12年間が就職氷河期世代です。

初産を30歳前後と考えると、就職氷河期世代を親に持つ高校生世代が10年は続く計算になります。

その為、学歴重視した保護者の思考は、当面続く可能性が高いですね。

・大学進学率の上昇

まず、大学進学率ですが、2018年が57.9%となっており過去最高の進学率となっています。

高校の進学率も過去は、1960年に57.7%だったのが1975年には91%まで一気に上昇しています。

ここまで短期間で伸びることはありませんが、上昇傾向にあるのは、間違いありません。

大学生の学力低下が叫ばれていますが、これは裏を返せば本来、大学に行かなかった学力レベルの高校生が進学していることにも繋がります。

大学進学の意識が強い保護者が増えていることも考えると、当面は上昇傾向にあると思われます。

マーケットから、学習塾設計を考えてみる。


あくまでも、今まで記載した内容は、実際の統計データと私の考察で導きだされています。

もちろん高校部をやることが、今後の学習塾業界で生き抜く為に必要なことの一つであることは、間違いありませんが、今回みなさんにお伝えしたいことは、「単純に高校生を対象とした教室を作りましょう」では、ありません。

重要なのは、こういったデータが世の中にたくさん出ているのをスルーせずに、学習塾の経営指針に役立てて欲しいと思ってコラムを書きました。

参考になりましたか?また、面白いデータがあればコラム書かせて頂きます。

※出展 経済産業省平成29年特定サービス産業実態調査
塾と教育 6月号

この記事を書いた人

Lacicu 編集部

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